ドレージ(drayage)輸送とは、国際海上コンテナなどの貨物を、トラクターヘッドおよびシャーシを用いてトラック輸送することです。
業法(貨物自動車運送事業法)上は、一般の自動車貨物運送事業(いわゆる普通のトラック運送会社)と差はありませんが、次のような点から特異な事業形態を有しています。
1)輸出入取引に組み込まれていること
通常のトラック運送は、荷主(メーカー等)とトラック会社との相対での輸送契約によるものが主ですが、ドレージ輸送については、フォワーダ(取次業者、貨物利用運送事業者)や商社に一括して委託しているケースが一般的です。輸出入物流では、海運、通関、港湾運送(港湾内での荷下ろし・積み込みやコンテナの移動など)、ドレージといった様々なオペレーションが発生しますが、それぞれの手配を荷主企業が自社内で行うのは非常に難しいのが現実です。そのため、専門の会社に一括して委託するのが一般的となっています(ただし、大メーカーなどでは、自社の物流子会社がこれらの手配まで行っているケースはあります)。
そのため、ドレージ輸送会社は、荷主と直接の契約ではなく、商社やフォワーダの傘下で、半ば専属的に活動している企業が少なくありません。特に地方港では、港湾運送会社の数が限られていることもあり、港湾運送会社系のドレージ会社が大きなシェアを占めているケースが多く見られます。
2)道路法等の通行規制の問題
国内の道路を通行できる車両は、道路法(車両制限令)、道路交通法(警察)、道路運送車両法保安基準(トラック輸送に関する規制)などで規制されていますが、フルに積載された国際海上コンテナは、通常は一般の道路を走行できず、例外措置により通行が許可されている状況です。
具体的には、道路法上の規定により、道路管理者に対し、通行ルートを特定したうえで「特殊車両通行許可申請」を行うことが求められています。道路管理者は市道・県道・国道などでバラバラですので、申請は必ずしも簡単ではありません(国では簡素化の取り組みを続けていますが)。
また、海上コンテナは、ドライバーがコンテナを開けて中身をみることができないため、偏加重、重量超過による事故の防止も課題とされています。そのために国のガイドラインなども策定されています。
3)港湾の渋滞の問題・港湾のゲートオープン時間の問題
過去20年ほどの間に輸出入物流量が劇的に増加していますが、港のキャパシティが追いついていないのが実情です。特に京浜港(東京・川崎・横浜)については、港湾の物理的狭さの問題もあって渋滞が激化しており、コンテナヤードからコンテナをピックアップするための所用時間が非常に長くなっています(なお、これは道路の渋滞問題と混同されがちですが、あくまでもコンテナヤード内が混雑しているために、コンテナヤードのゲート前でトラックが待たされている、というのが実情かと思われます)。
そのため、ドレージ輸送は一日の半分程度が港湾周辺での待機に費やされているといったケースも生じているほどです。
また、現状では港湾(コンテナヤードのゲート)は24時間開いているわけではなく、ヤードにより異なりますが、たとえば4時半などの時間までにゲート前に並ばないと、当日にコンテナをピックアップすることはできません。
ドレージ会社としては、ゲートオープン時間に合わせて運行せざるをえない状況にあるため、輸送効率を上げるのが非常に難しくなってきます。
その他、料金体系の問題など色々とありますので、こちらで紹介していきたいと思います。