トラックドライバーの従業員満足度(ES)調査について
1.従業員の定着化は人手不足対策の柱
人手不足対策は「採用」と「定着化」が(さらに言えば省力化も)柱となります。ドライバーを採用しても定着しなければ「ザルに水を注ぐ」ようなものですので、定着化は重要です。ごく一部の大手、物流子会社等を除くと、「辞めた人員の補充はいくらでも可能」という運送業は見当たりません。
特に近年、ハローワーク以外の民間求人サイトを利用するケースが増え、ドライバーの採用コストは無視できない金額になっています。昔は人材の補充はそのためコスト的な意味でも、定着化の必要性が高まっていると言えます。
これに加えて、品質や安全の面でも重要です。ドライバーの退職が激しい職場では、生産性や品質の低下、事故リスクの増大などのマイナスの影響が生じます。
なお、国交省では、トラック運送会社等を対象に「ホワイト経営認証制度」を導入しますが、この認証制度でも「定着化」が評価項目に組み込まれます。具体的には、「年間離職率10%未満」の会社は、ランク付けにおいて加点されることになります。
2.定着化のためには従業員満足度(ES)の把握が必要
定着化のためには、離職につながるトラブルを未然に把握すると同時に、従業員の満足度を継続的に向上させることが必要です。そのために実施されるが従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)の調査です。
3.調査結果に見るドライバーのESのポイント
①全体的な満足度/不満度
当社で実施した調査をもとに、トラックドライバーのES調査結果を紹介します。図1は項目ごとの満足度/不満度を示したものです。
もっとも不満度が高いのは「給料の額」で、次いで「成果給など給与の決め方」への不満も強い。回答者を層別に見ていくと、「長距離ドライバー」「男性」「高年齢層のドライバー」ほど給与への不満が強くなります。「勤務時間・残業時間」への不満も大きいですが、特に女性ほどワークライフバランスを重視する傾向があります。
②定着意向とESとの関係
ES調査では「仕事を続けたいか」といった「定着の意向」も調査されます。図2は、そのようにして調査した定着意向と、ESとの関係を示したものです。
この図から分かるとおり、ESと定着意向とには明確な関係があります。特に、「休憩や昼食時間の取得」「荷扱い等の作業負荷」「運行時間・距離の長さ」への満足度は、定着意向の強いグループと低いグループとの間で、大きな差があります。
4.従業員満足度(ES)の調査方法
ある調査によるとトラック運送業でES調査を実施している企業は1割弱に留まっており、あまり多くありませんが、大企業ではかなり一般的に実施されるようになってきています。詳細な実施方法をまとめた書籍も複数出ていますが、概略を述べると以下のとおりです。
①調査は紙やウェブ上の調査票に回答してもらう形式で実施する。
②調査票のフォームは、ドライバーの職務上の不満・問題点(特に、ドライバー特有の長時間勤務等に伴う問題)をうまく掬い上げるような設計とする。
③調査は匿名で実施する。実名では正直な回答が得られないため、調査は匿名で実施することが大原則。
④調査結果は純粋に職場環境の改善や従業員の定着化のために利用し、管理者の評価といった他目的に利用しない。
⑤必要に応じ、社内の関連組織(労働者の代表、産業医、安全衛生委員会等)と連携を図る
なお、調査結果を詳細に説明した資料を用意しておりますので、ご関心のある方は「お問い合わせ」よりご連絡ください。
【関連資料のダウンロード】
トラック運送会社様がES調査を実施するにあたっての参考資料等を掲載しています。
なお、ダウンロードにはパスワードが必要です。
説明資料
案内文の例